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率直な意見を出し合う「がやがや会議」の参加者たち=岐阜市の県立岐阜北高校

 生徒と先生がアイデアを出し合い、授業や学校運営を見直す取り組みに県立岐阜北高校(岐阜市)が力を入れている。そのための舞台となるのが「がやがや会議」。対等な立場で話し合うことを重視しており、教育業界の注目も集めている。

 10月下旬の放課後、岐阜北高の一室で今年度の「がやがや会議」が行われた。教員は原則全員、生徒は有志が参加し、学校生活で日頃気になること、改善したいことなどを話し合う。この日は、教員58人と生徒30人が集まり、1グループ7~8人に分かれ、「学びの場のあり方」をテーマに意見を出し合った。生徒からは「教科書選びに生徒も参加したい」「昼寝の時間があれば、授業にもっと集中できる」といった意見が出され、教員も「それは同感」「先生としては……」などと応じた。45分ほど話し合い、最後にグループごとの発表を聞いた上田和伸学校長は「すぐに実現したい提案もあった。授業とはこうあるべきだという固定化した考え方を見直すきっかけを示してくれた」と総評した。

 がやがや会議は2019年に始まり、コロナ禍の時期を除いて今回で3回目。22年の学習指導要領改訂を見据え、「生徒の意見も聞きたい」という教員の思いがきっかけで始まった。会議で出た意見は教員管理職と生徒会役員でつくるチームなどでさらに検討し、校長に提案する。早ければ翌年度に具現化を目指す。これまでにカリキュラムの変更や宿題の選択性を実現した。そのほか、21年に文部科学省が高校に策定を義務づけた「スクール・ポリシー(学校方針)」を、国の議論に先んじてがやがや会議で話し合い、策定している。がやがや会議は今年5月、専門サイト「Web月刊高校教育」(学事出版)で生徒が活躍した先駆的な事例として取り上げられた。

 会議では冒頭、参加者全員で会議の4カ条「生徒と先生が互いに尊敬すること」「生徒は相手が先生だからと萎縮しないこと」「先生は立場を利用して意見を述べず柔軟に考えを述べること」「合理的な話し合いをすること」を唱和する。声が小さいと、生徒会が何度も唱和を促す。先生と生徒が対等であることを確認するためで、生徒側の発案だという。

 今回、初めて参加した2年生の後藤愛菜さん(17)は「少し不安だったけれど、思ったより先生に自分の気持ちを聞いてもらえた」と話す。

 岐阜大学の棚野勝文教授(学校教育学)は「生徒たちは18歳になると選挙権も持つ。正しい意見の出し方、方法によって世の中が変わるという経験をすることは非常に大切」と指摘している。(山田理恵)

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